電気設備の安全を確保するうえで欠かせないのが「接地(アース)」です。特に接地抵抗値の適正管理は、感電や火災事故を防ぐ重要な要素であり、施工後には必ず接地抵抗測定を行う必要があります。本記事では、接地工事の種別、接地抵抗値と接地線の基準、そしてアーステスターによる測定手順について解説します。
接地工事の種別と基準
電気設備技術基準に基づき、接地工事はA種・B種・C種・D種に分類されます。各種別の用途・接地抵抗値の基準・接地線の太さは以下の通りです。
種別 | 主な用途 | 接地抵抗値の基準 | 接地線の太さ(銅線) |
---|---|---|---|
A種 | 高圧機器、避雷器など | 10Ω以下 | 直径2.6mm以上(5.5mm²以上) |
B種 | 変圧器の中性点接地(地網接地) | 150/Ig Ω以下(遮断時間により300/Igまたは600/Ig Ωまで可) | 変圧器容量に応じて:例)60kVA以下 → 38mm²以上 |
C種 | 300V超の機器や金属管など | 10Ω以下(※0.5秒以内に遮断する装置がある場合は500Ω以下) | 遮断器定格電流に応じて:例)100A以下 → 5.5mm²以上 |
D種 | 300V以下の一般機器や金属管など | 100Ω以下(※同上、遮断装置併用で500Ω以下可) | C種と同基準(定格電流に応じた選定) |
アーステスターの種類
- 2極式:簡易測定用。既設設備の確認などに使用される
- 3極式:標準的な測定方法。E(接地極)、P(電圧電極)、C(電流電極)を用いる
- クランプ式:活線状態でも測定可能。共通接地回路で使用
基本的な測定手順(3極式の場合)
- 黒リードを接地極(E)へ、赤リードを電圧電極(P)へ、黄リードを電流電極(C)へ接続
- 補助電極(P・C)は直線上に数メートル以上間隔を空けて設置
- テスターを起動し、測定レンジを設定して抵抗値(Ω)を読み取る
- 表示が安定しない場合は補助電極の位置や地面の状態を調整
測定時の注意点
- 乾燥した地面では接地が不安定になるため、水をまいて導電性を確保
- コンクリート・アスファルト面では補助電極をしっかり固定する
- 測定点近くに他の接地体がある場合は、測定誤差の要因となる
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まとめ
接地工事は、その種別に応じて接地抵抗値や接地線の太さが厳格に定められています。アーステスターを使った正しい測定と施工管理により、安全性と法令遵守を両立させましょう。特にC種・D種では遮断装置との組み合わせによる例外規定を理解し、現場に合った適切な対応が求められます。
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